日替わり NAT’s Champloo

音楽やライブ(HM/HRやボカロなど)、旅行など、ごちゃっとした日記

「ボーカロイド音楽の世界2018」刊行記念トークイベントに行ってきた

ボーカロイドなどの歌声合成を取り巻く状況を音楽に焦点を当てて紐解く本の2018年度版「ボーカロイド音楽の世界2018」のリリースを記念したトークイベントに行ってきました。

twipla.jp

この本には、私が運営しているボカロ関連ニュースサイト「週刊ボカフロ」も少し協力していて、記事「ボーカロイドに関する2018年の重要トピック」で、ニュース記事の情報を提供しています。

という宣伝はさておき、ボカロPである平田義久さん、瀬名航さん、ヒッキーP、そして初音ミクの記事を朝日新聞に掲載した事で知られる特別ゲストの朝Pの話が聞けるということで、渋谷にある会場へ行ってきました。

 

会場は、前方にステージがあり出演者が登壇、観客席には椅子とテーブルが並び、注文した飲み物や食べ物を飲み食いしながらトークを聞ける形式。出演者もトークをしながら飲み物や食べ物を注文したりと、リラックスした雰囲気でした。

観客は20人前後。互いに顔見知りのボカロファンもいたりして、コアな人達が多い印象でした。

 

トークイベントは3時間、休憩を挟みつつ、出演者が一人ずつ自分のテーマでトークをしつつ、他の出演者も話を挟んだりするという、パネルディスカッション的な感じで進行しました。

 

トークの全体は、アンメルツPが書いたレポートが詳しいです。

www.gcmstyle.com

 

ここでは、印象に残った話の感想をかいつまんで書きます。

 

最初は、平田義久さんのボーカロイドに感情はいらない話。歌声に感情を感じるのは聴き手の感情なので、歌声を発する存在には感情は無くても、作曲者の意図する表現ができれば良い。そんな主張だと理解しました。

自分も、ボカロが人間の歌唱に匹敵するのに足りないのは、声の情報量や表現力だと思っているので、この話には共感する所が多かった。

あと、生まれたときからボカロがある世代は、ボカロの歌声に違和感無く受け入れられるのではという話は興味深かった。もしかしたら、人間の情報量に匹敵するよりも前に、ボカロが人間と同じように受け入れられる時代が来るかもしれない。

 

瀬名航さんの話は、初音ミクと人間の両方に楽曲提供しているボカロPとしての話。女性アイドルグループ tipToe. に楽曲提供する事になった経緯や音楽性の話。白でも黒でも無いグレイな部分の表現へのこだわりや、初音ミクの歌声を自分の歌声として使っているのでシンガーソングライター的だという話は、瀬名さんの楽曲が好きな私としては面白い話でした。瀬名さんの楽曲の理解を深めるのに役立ちそうです。

トークイベント後に瀬名さんとお話して、本にサインを書いて頂きました。ありがとうございます。

 

そして特別ゲストとして登壇した朝Pの話。ボカロとvtuberの繋がりの話は、大変興味深い話でした。キズナアイはなぜ初音ミクを「初音ミク先輩」と呼ぶのか、という問いを発端に、イラストレーターやMMDモデラーといったクリエイターの繋がり、歌ってみたや踊ってみたのボカロ曲繋がり、そして初音ミクの歌声に少女の人格を仮託する事と美少女アバターに人格を仮託す事の共通点を紹介。

そんな話の外堀を埋めたうえで、満を持して、朝P自身がやっている、初音ミクアバターで可愛い自撮り写真を撮影する #私かわいい に持っていく流れが流石です。

 

最後のヒッキーPの話。ボカロシーンにおけるニコ動とYoutubeの話。ニコ動よりYoutubeの方が再生数が伸びているPさんがいる事、ニコ動とは違った形でボカロを聞く層が増えているのではないかという話を興味深く聞きました。ボカロの裾野が広がったゆえに起きている現象なのでしょう。もう少し深掘りした話が聞きたかったのですが、時間不足で話が尻切れぎみなのが少々残念でした。

 

以上、あっという間の3時間でした。イベントの最初は3時間のトークは長いかな?と思ってましたが、そんな事は無かったです。自分はお酒や食べ物を飲み食いしながら聞いてたので、リラックスしてトークを楽しんでいました。

こういうボカロ論評話は、頭が刺激されて楽しいです。またこういうトークを聴きたいですね。