TOKYO GIRLS COLLECTION Super Live -MATSURI-
ライブエンターテインメントショー「TOKYO GIRLS COLLECTION Super Live -MATSURI-」に、初音ミクが出演すると聞いて、行ってきました。
事前情報もほとんど無く、どんなステージになるか始まるまで分かりませんでしたが、エンターテイメント性の高いライブショーで、想像以上に楽しかったです。アーティスト、役者、歌い手、ダンサー、モデル、バーチャルと、多様な出演者のパフォーマンスを見て楽しむライブショーでした。
初音ミクさんが出演するシーンも多く、メイリアさんやドリーム・アミさん、キズナアイさんとの共演や、SKY-HIさんとのラップ共演、ダンサーの踊りや映像演出の中でのパフォーマンス、物語りの中でのトークなど、ミクファンにとっても見どころが多かったです。
レポート記事として文章にまとめると時間がかかり過ぎてしまいそうなので、書きたい文を並べた感じのメモ書きに近い形にしました。他にも色々書いておきたい所はありますが、長くなりそうなので、これだけは書いておきたい事だけに絞りました。興味ある部分だけでも読んで頂ければ。
歌について
- 1曲目のGARNiDELiA「極楽浄土」は、メイリアさんだけでなく、ミクさんとデュエットするという特別な歌唱。しかも、ミクさんキズナアイさんが並ぶ間にメイリアさんが立って歌うという、バーチャルとリアルの共演が1曲目から見られた。
- 初音ミクとキズナアイは、ステージ中央の一段高い所に設置されたポリッドスクリーンへの投映。天井に吊したプロジェクターからのリアプロジェクション。スクリーンの前に人間の共演者が並んで歌ったり踊ったりする場面も多かった。
- このステージのための書き下ろし曲「KYOGEN」は、SKY-HIさんとミクさんによるラップの共演。SKY-HIさんがボカロ曲によくある高速歌唱のように早口で歌うパートもあったり、ミクさんも負けずにラップで歌ったりと、挑戦的な歌唱であった。SKY-HIさんが映像でミクさんの横に並んだり、ステージ前面の紗幕(薄い幕)に登場したり、歌の歌詞が沙幕に表示されたりと、視覚的にも面白かった。
- きくお「ごめんね ごめんね」は、音的にも映像的にもインパクトがあった。ダークな曲調と重い音に合わせて、ミクさんが激しく歌い踊る。激しく明滅する映像が、ステージ前面の沙幕とステージ背面のスクリーンに投映され、ステージ全体が異空間になった。
- 日向電工「ブリキノダンス」は、メイリアさんと武瑠さんが歌い、ミクさんはステージの上で扇子を持って踊った。人間が歌うには早口で難しそうな曲だけど、メイリアさんは歌えてて凄かった。ミクさんの左右には2人ずつダンサーが並び、ミクさんと合わせて扇子を持ちながら踊る。全員の動きがピッタリ一致していて、これがまた素晴らしかった。
- DAOKO×米津玄師「打上花火」は、ミクさん・キズナアイさん・メイリアさん・ドリームアイさんの4人が一緒に歌った。これぞ、人間とバーチャルの共演による歌。ちょっと目頭が熱くなった。
- malo「ハジメテノオト」は、1番をミクさんが歌い、2番からキズナアイさんが加わるという、ボカロとVTuberのデュエット。2人ともアニメ声優的な歌声で声質が近いからか、2人のハモリが綺麗で素敵だった。
- ステージの最後は、出演者が全員登場して再び「極楽浄土」を歌い、観客も手拍子やペンライトで盛り上がりの大団円。この曲の中で、ミクさんとキズナアイさんが楽しそうにハイタッチした光景が忘れられない。
全体の構成や演出について
- 全体の構成としては、出演者それぞれに見せ場を作るために、物語と曲の流れがあるような感じでした。アーティスト、役者、歌い手、ダンサー、モデル、バーチャルシンガーにバーチャルYoutuberと、多くの出演者それぞれに見せ場が割り振られていました。
- 冒頭に演劇と殺陣があり、迫力のある殺陣で物語に引き込まれた。その後、この物語の舞台となる桃源郷での歌と踊りが続き、演劇で物語が語られ、ミクさんやアイさんのトークで桃源郷の裏側が語られた。途中、白石隼也さん渡部秀さんの殴り合い斬り合いの殺陣は、ステージを縦横に動き回り、凄かった。ミクさんが「ワールドイズマイン」で「世界で一番お姫さま」と歌う前で、ファッションショーのように「お姫さま」ことモデルさん達の衣装を披露するステージもあった。そして最後に大団円で「極楽浄土」を歌うという流れだった。
- 楽曲は生演奏ではなく、録音されたものを流していましたが、歌唱だけは生でした。ボカロ曲が多く使われましたが、その流れを作るために使われた印象の曲もあり、純粋な音楽ライブというより、ショーして見た方が楽しめた。
- ステージ前面の沙幕、ミクさん達を投映するポリッドスクリーン、ステージ背後のスクリーンと、映像的には三面のスクリーンに投映できる仕組みだった。「ごめんね ごめんね」や「KYOGEN」での、この仕組みを駆使してバーチャルな空間を作り上げる演出が印象に残った。ミクさんが異空間の中で歌い踊っているようだった。
- どういうステージになるか全く分からなかったので、ステージをどう盛り上げたら良いのか、最初は分からなかった。大人しく見てれば良いのか、演奏中は手拍子やペンライト、コールで盛り上げて良いのか、空気が読めなかった。私は1日目の昼公演と夜公演の両方を見ましたが、昼公演は大人しく見て、パフォーマンス後に拍手するくらいでした。その後、ペンライトで盛り上げてOKという関係者からの呼びかけがTwitterであり、ステージの上の出演者の手拍子を求める煽りもあったので、夜公演は全力でペンライトを振り、コールした。盛り上がって楽しかったので、最初から盛り上げOKと言って欲しかった。
物語について
- 物語をボカロ視点で考察すると、この物語でのミクとアミの関係は、ボカロの創作でよく語られる初音ミクとマスター(ボカロP)の関係に近いと思う。記憶と声を失ったアミにとって、ミクはその代わりに歌う存在。そしてミクもアミの事を「アミ様」と慕う対象である。
- 自分の解釈だが、アミの代わりに歌うミクは、アミが失った記憶に近い存在でもあり、失った記憶を取り戻す鍵でもあったのだろう。終盤、主人公の隼はミクとラップバトルをする。あの掛け合いは、隼とミクの対話であると同時に、隼とアミの対話でもあったのかもしれない。それが、アミが記憶と声を取り戻す結果となった。
観客について
- 出演者が多様であれば、それを見に来る観客も多様であった。アーティストや役者、歌い手、ダンサー、モデルのファンもいれば、初音ミクやキズナアイのファンもいる。全体的に若い女性が多く、ときどき年配の人もいた。そして、服装や身に付けているグッズからミクファンと分かる人達もいた(自分含む)。
- 出演者の視線をもらうために、団扇にメッセージ入れて振ったり、ツアータオルを見えるように広げたりする人がいた。出演者も、それに応えて視線を向けたり手を振ったり。そんなやりとりを見て、出演者から視線や反応をもらう事に価値を置く世界もあるのだなと関心した。これは、ミクさんのライブでは(今のところ)できないことだし。
- ミクさん以外の出演者が目当てと思われる人の感想をTwitterで見ると、初音ミクを初めて生で見られたと、見た事それ自体に感激している感想も目立つのが印象に残った。
- キズナアイのファンの感想ツイートを見ると、アイさんがミクさんの事を「初音ミク先輩」と呼んでいることに象徴されるように、バーチャルな存在の先駆者として初音ミクを見ているように感じた。Vtuberとボカロは、そのコンテンツの作られ方からして、タレント的なVtuberとツール的なボカロでは、対照的のものだと自分は考えている。だけどバーチャルな存在をよりリアルにしたいという思いみたいなものは、両者に共通するのかもしれない。キズナアイファンの感想ツイートに共感したりしながら、そう思ったりした。
最後に
撮影OKのカーテンコールの時に撮影した一枚。うまく撮れていませんが、観客に向かって手を振るミクさんとキズナアイさん、その下には他の出演者達がいます。
事前情報が無く不安もありましたが、面白い物を見せてもらいました。初音ミクの楽曲だけが目的だと不満が出るかもしれないけど、音楽や踊り、演劇、映像が融合した総合的なエンターテインメントショーとして見ると、他では見られないような豪華な出演者とコンテンツのショーでした。全体的にミクさんの出番も多く、他では見られない共演もあり、初音ミク目当ての自分でも、大変楽しかったです。
ただ、事前の告知不足のためか、集客や観客の盛り上げが中途半端になった印象を受けました。2日目は、3階席の客を2階席に詰めたという話も聞きました。見に行った人の評判は良いだけに、それが残念でした。
DVDなどでの映像化という話も聞きますが、再演にもぜひ挑戦して欲しいです。この楽しいステージをまた見たいと思いました。