日替わり NAT’s Champloo

音楽やライブ(HM/HRやボカロなど)、旅行など、ごちゃっとした日記

イーハトーヴ交響曲 花巻公演に行ってきた

http://www.city.hanamaki.iwate.jp/citizen/kenji/1372052988036.html

冨田勲さんの「イーハトーヴ交響曲」が花巻で演奏されるということで、行ってきました。
昨年11月の東京オペラシティコンサートホールでの初演を見に行ったのですが、この曲のテーマである宮澤賢治の世界のゆかりの地、宮沢賢治の故郷である花巻で演奏するということで、これは行くしかないと思って行きました。あと、初音ミクがプリマとして歌って踊るシステムも、初演の時から変わっているという話も聞いたので、それも目当てでした。

会場入口
会場は、花巻市文化会館。この日の午前中に東北新幹線に乗って、ここまで来ました。


大ホールへの階段
会場に集まった観客は、普通に地元の老若男女という感じでした。初音ミクのファンと思われる人は数えるほどしかいませんでした。そのうち3名は、ボカロ関連で出会った知り合いでしたが(笑)。
合唱団は地元の人を中心に構成されたので、その家族や知り合いも来たのかもしれません。入場待ちの行列の横を、合唱団の人達(大人と少年少女)が控え室へ進んでいった。入場待ちの人(知り合い?)が、それに声をかける場面も見られた。


大ホール入り口
大ホールに入り、席に座る。席はステージ真正面で、オーケストラをこんな近くの正面で聞くのは多分初めてだった。
イーハトーヴ交響曲の演奏の前は、冨田勲さんの曲を数曲演奏。特に、大河ドラマ勝海舟」のテーマはカッコ良かった。勇壮な曲のオーケストラはゾクゾクする。
初演の時もそうだったけど、冨田勲さんが同じ観客席にいた。自分の席から5mくらい左斜め後ろに冨田勲さんがいて、ちょっと驚いた。曲の合間に、指揮者の大友直人さんに呼ばれて壇上に上がり、曲について話してくれた。冨田勲さんの話は何度かイベントや記事などで聞いているので、知っている内容も多かったが、軽妙によくしゃべる方なので、会場から笑いも起き、なごやかな雰囲気に。


そして休憩をはさみ、いよいよ本編の「イーハトーヴ交響曲」の演奏。生のオーケストラ演奏と、地元の人達による合唱に感激した。この曲は何度かCDで聴いてるけど、生で演奏を聴くと迫力が違う。
合唱も、1つ1つの言葉に思いを込めたかのような歌い方で、初演の時と違った印象。特に「風の又三郎」での嵐のような迫力のコーラスが印象に残っている。「雨にも負けず」の力強いアカペラも素敵だった。


今回の初音ミクは、特に映像が大きく変わっていた。後にTwitterで得た情報によると、セガProject DIVAのモデルを使ったリアルタイムレンダリングで、ユニティ・ジャパンの技術支援を受け、クリプトン社のらぼぷとんチームが、新たに開発し直したシステムとのこと。ステージ後方のスクリーンに、初演より解像度が高く、立体感のある初音ミクが投影され、指揮者に会わせて歌い踊った。
初音ミクは、初演と同様、曲に合わせて衣装も変えて踊っていた。風の又三郎で風のエフェクトと共に登場したりと、エフェクトにも少し工夫が見られた。終演後に会場が拍手で包まれている時にも再登場して、観客にちょこんとお辞儀したり、手を振ったりと、16才の少女である初音ミクらしい可愛さも見せていた。
演奏中には、時々、妙にフレームが飛んだりするのが見えたのだけど、今後の東名阪の公演にはエンジニアも同行するので、今後改善されていくと思われる。


ちょっと驚いたのは、初演時にいた演奏者(指揮者の前で鍵盤を弾いていた人)がいなくなり、エレクトロニクス担当のことぶき光さんの姿しかステージ上に見えなかったこと。おそらく、音声と映像を指揮者に合わせる仕組みが統合されたのだろうか。この辺りのシステムの詳細は、どこかで詳しく知りたい。
初音ミクの歌声の方も、調声に手を入れたのか、声の揺れなど、より人間らしい声に聞こえる部分もあった。ただ、今どきのボカロ曲の調声と比べると、歌い方が機械的でぎこちなく聞こえる部分もあり、もうちょっとブラッシュアップが欲しいと思う所はあった。この辺りは、指揮者に合わせて歌わせるシステムの問題も絡むのかもしれない。
いずれにせよ、初演の時と比べれば、着実にブラッシュアップされている。オーケストラと初音ミクの融合、今後の発展に期待したい。

イーハトーヴ交響曲公演のポスター

というわけで、宮澤賢治の故郷である花巻という特別な場所での、イーハトーヴ交響曲の演奏、初音ミクのプリマ、大いに楽しんできました。