京町セイカがオーケストラと共演するコンサートへ行ってきました。
京町セイカが好きだというのもあるのですが、歌声合成ソフトとオーケストラによるコンサートである事にも強く引かれました。SynthesizerV AI というAI歌声合成とオーケストラの共演も私の知る限り初めてのこと。
面白いコンサートになるに違いないと思い、発表後にはこんな記事を書いたりしています。
入場
ホールに入場すると、ステージにはオーケストラの楽器と椅子、指揮台が置かれ、その前に京町セイカを投影する透過スクリーンが設置されていた。オーケストラと指揮者の前に、京町セイカが立って歌うステージ。
客入りは残念ながら空席が目立つ感じで、前方のSS席やS席の数列は京町セイカのファンが集まり、1つ後ろのブロックのA席も前方は埋まっているが、その後ろは空席が多め。客層は、前方の席には京町セイカのファンと思われる男性層が多め、後方のA席には地元精華町の方と思わしき家族連れや年配の方が目立つ感じ。
開演時間が近づくと、京町セイカの声で場内アナウンスが始まる。飲食禁止、撮影禁止、SS席S席のグッズ配布といったお知らせのあと、この声は発売予定のVOICEPEAK京町セイカだと自己紹介。
開演
ステージ上にStyle KYOTO 管弦楽団のメンバー、指揮者の松村秀明さんが登場して、歌劇「フィガロの結婚」序曲の演奏が始まる。
演奏が終わったあと、ステージ上の透過スクリーンに京町セイカが登場して、夜の女王のアリア「魔笛」の演奏が始まる。ドイツ語であの高音の歌を歌う。
Dharmaさん調声によるこのカバーが、オーケストラの生演奏で演奏される。すごい。
ステージ上に立つ京町セイカの衣装は、 Synthesizer V AI パッケージにも描かれている衣装でした。その3DCGモデルやモーションの品質も高かった。私は第1回公演をS席で、第2回公演をSS席の最前列で見たのですが、SS席からは顔の表情や指の動きまでよく見えた。
演奏が終わると、ステージ上に立つ京町セイカがMCを始める。最初に演奏した2曲を紹介。
ポップスカバー
続いて「アメイジンググレイス」「All about That Bass」「Feel Special」とポップスのカバーが続く。
中でも「All about That Bass」は印象に残った。ビッグバンド的なアレンジでの演奏に、ハッピーな雰囲気の歌を歌うセイカさんに、Synthersizer V AI パッケージイラストのように、どこかのバーでバンドをバックに歌っているセイカさんの姿が脳裏に浮かんだ。
オリジナル曲
続いて、京町セイカオリジナル曲「ウラナク」「大好き♥精華町!」を歌った。
「ウラナク」は、たかぴぃさん作曲の公式デモソングで、私は大好きな歌。この曲のオーケストラで聞くのも、今回のコンサートの楽しみの1つでした。
原曲の力強いサウンドを、オーケストラアレンジで勇壮にドラマティックに演奏された。期待以上の演奏に私は感激してました。
クールな曲ですが、時々セイカさんが可愛らしい動きを見せてくれた。「ごめんあそばせ」と歌いながら、ウインクして人差し指を出すのが可愛かった。
様々なジャンルの楽曲カバー
「シシリエンヌ」の演奏のあと「夢やぶれて〜レ・ミゼラブル〜」のセイカさんの歌声に聴き入った。
ニコニコ動画で話題になったカバーと紹介して「群青」を歌う。
歌った後のMCで、ニコニコ動画に上がっている動画では、東北三姉妹がコーラスで入って可愛いので見て下さいと紹介されてた。東北三姉妹ファンの自分的には嬉しい紹介だった。
そして最後の曲は「天城越え」のカバー。
このコンサートで印象に残っている事の1つは照明。オーケストラコンサートだと、あまり照明は動かない印象があるのですが、このコンサートでは積極的に動いてました。
基本的には明るい照明でセイカさんが見えなくなることがないようになっていましたが、曲の展開に合わせて照明の色を変えたり、向きを動かしたりしてました。「天城越え」の演奏では、照明が赤く変わったり、照明の線が動いて山のようになったりする場面転換が印象に残ってる。
アンコール
最後の曲の拍手のなか指揮者が退場したあと、楽団メンバーはステージ上に残ったまま。これはアンコールがあるなと思ったら、場内に聞き覚えのある男性の声が流れる。
フリモメンが観客にアンコールを促し、「アンコール。はい。」とお調子者な声でコールをかける。これには、観客から笑いが漏れる。
フリモメンのコールに合わせて手拍子するのは、なんだか癪に障る気もしたが、アンコールはしたいので、お調子者の声に合わせて手を叩いた。
指揮者とセイカさんが再びステージに登場し、アンコールにお礼を言ったあと、精華町の名産であるイチゴにちなんで、ゆずの「いちご」を歌う。
この歌は初めて聞いたのだけど、けっこうきわどい男女の関係を歌った歌に聞こえて、公務員のセイカさんこれ歌って大丈夫?などと思ったりはしたが、楽しい曲調なので楽しく聞いていた。
アンコール最後の歌は、セイカさんが一番言いたい事と前置きして「フルサト・ノウゼイ」を歌う。
精華町のふるさと納税担当でもあるセイカさんらしい選曲が楽しかった。
グッズ販売
ホールの外では「SEIKA音声合成フェス2023」と称して、京町セイカ公式や企業が出展する企画が開催されていた。
京町セイカやその歴史を紹介するパネルや、10周年を記念する寄せ書き。
コンサートが素晴らしかったので、記念やお礼も兼ねて、京町セイカグッズも購入。
オーケストラコンサート全体の振り返り
オーケストラの前で歌うセイカさんが素敵なコンサートでした。Style KYOTO 管弦楽団の演奏も、楽曲のオーケストラアレンジも、松村秀明さんの指揮も素晴らしかった。
セイカさんの歌声は歌声合成ソフトの出力のため、指揮者に合わせて歌う事はできないため、セイカさんの歌声に合わせて指揮者がオーケストラに演奏させないといけない。指揮者の様子を見てると、どうやらイヤモニでクリック音を聞きながら指揮をして、オーケストラの演奏とセイカさんの歌声を合わせているようでした。難易度の高い指揮だと思いますが、無事やり遂げていました。
曲によっては、オーケストラメンバーやセイカさんが手拍子をして、観客に手拍子を促して、観客もそれに応えて手拍子をする場面もあった。こういう演者と観客の音によるやりとりは好きですね。
セイカさんのステージ上の動きは、派手なダンスは少なかったけど、曲に合わせて腕や手を動かしたり、ステージを左右に動いたり、くるっと回ったり、手を振って観客にアピールしたりと、かわいい動きだった。
セイカさんの歌声も素晴らしかった。Synthesizer V AI 京町セイカの能力と、クリエイターの調声/ボーカルディレクションの賜物ですね。オーケストラの音と合わせても存在感があり、機械っぽさを感じない自然な歌声。もともとセイカさんの歌声に魅力を感じてましたが、その実力をあらためて実感しました。
音声合成キャラクターの声を普段聞かないであろう地元の観客からは、どう聞こえたのか感想を聞いてみたいです。
個人的には、好きな曲「ウラナク」のオーケストラアレンジが嬉しかった。あのドラマティックな音をまた聞きたい。もちろん他の曲もまた聞きたい。映像が理想ですが、音源だけでも良いので、円盤の販売や配信をして欲しい。
そう思える、素敵なコンサートでした。