日替わり NAT’s Champloo

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マジカルミライ2019 ライブの感想

magicalmirai.com

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マジカルミライ2019の大阪会場と東京会場に行ってきました。ライブは、大阪会場の2日目昼公演(初演)と3日目昼公演、東京会場の1日目夜公演と2日目夜公演、3日目昼公演の計5回見ました。セットリストは、毎日一部の曲が入れ替わる日替わりでした。

 

今回のセットリストは、文脈や意味付けを思わせる流れなのと、新しい曲が中心なのが良かったです。
特に選曲は、いつものテンポが速く勢いのあるライブ向けの曲だけでなく、メッセージ性の強い曲も多く入っているのが印象的でした。

 

今回のライブに色々と思う事があるので、その感想を4編に分けて書いてみたいと思います。

  1. メッセージ性の強い曲編
  2. 巡音ルカ10周年パート編
  3. その他、印象に残った曲編
  4. 全体の感想

 

メッセージ性の強い曲編              

今回のセットリストは、ボカロP達が曲に込めたメッセージのぶつかりあいにも聞こえました。ここでは、そんなメッセージ性の強い曲について感想を書こうと思います。

 

オープニングは、ここ数年で人気上昇したボカロPの一人Omoiさん人気曲「テオ」。私も好きな曲なので一気にテンションが上がる。「魔法が解ける それまで 繋いでいてよ 手を」という歌詞、ひょっとしたらマジカルミライが終わるまで手を繋いでいてよと、歌っているのかも。

ミクさんのCGモデルは、クリプトン製R3システム用のモデルで、今回新しくリファインされた「初音ミク19モデル」。「SNOW MIKU Live! 2019」の冒頭もR3でオープニングが「テオ」だったので、この後も同じ流れかな?と思いきや、次は違う曲が来た。ピノキオピーの「すきなことだけでいいです」。おー、これが来たか。

好きなことだけやりたいけど、それも難しいよねという歌詞。振り返ると、ここから続くセットリストを暗示してたのかも。

 

次はラマーズPの「愛の詩」。君に寄り添う初音ミクを歌ったような歌詞。ここで話をライブ本編最後の方に進めると、本編最後の1つ前の曲が、「愛の詩」と対になるような形で、昨年のマジカルミライテーマソング「グリーンライツ・セレナーデ」。これも創作者に初音ミクが寄り添う歌。

「グリーンライツ・セレナーデ」が流れて、昨年のマジミラミクさんが登場したときの観客の盛り上がりが半端無かった。この曲は、マジカルミライの新しいアンセムになったかもしれない。

 

そして本編最後は傘村トータさんの「僕が夢を捨てて大人になるまで」。ステージ上のミクさんがピアノ弾き語りで歌い始め、バンド演奏も加わり、原曲とは違ったドラマティックな音に。そんな音に乗せて、大人になるために夢を捨てようと葛藤する歌が歌われる。

前曲の「グリーンライツ・セレナーデ」で寄り添うミクと一緒に夢を追い掛けてきたけど、でも夢だけを抱えて生きていくのも難しくて。そんな流れにも思えた。好きなことだけでは難しいと歌う、ライブ2曲目の「すきなことだけでいいです」も思い出す。セトリの中でこの位置で演奏するからこそ、歌詞の意味が強く感じられる曲に思えた。

ピアノバラードにバンド演奏が加わるドラマティックな展開と、切々と歌い上げるミクさんの歌声に、正直、心が震えた。本編最後の曲ということもあり、演奏後に強い余韻を感じた。

私は傘村トータさんの曲が好きなのですが、良い位置でトータさんの曲を演奏してくれて、本当にありがとうと思う。

 

そしてアンコール一曲目は、wowakaさんの曲を現す映像と音が流れ、ステージ上にwowakaさんの詩の歌詞が人の形を作っていき、その中からミクさんが登場して演奏が始まる。wowakaさん追悼のパート。ここは日によって曲が変わったのだが、大阪公演2日目(初演)は「アンハッピーリフレイン」。なんだか、誰よりも速く駆け抜けたようなwowakaさんの人生を歌っているようにも聞こえて…。天に届けとばかり、力の限りペンライトを、いや腕を振り上げてた。

東京公演の2日目くらいからだろうか、wowakaさん追悼パートが始まる映像が流れている間、観客から「wowaka! wowaka!」のコールが始まった。誰だか知らないけど、粋なことを始めたものだ。私もコールに加わった。

 

アンコール2曲目はlivetuneさんの「Hand in Hand」。曲が始まっても、直前のwowakaさんの曲の余韻が抜けきれず、ペンライトを顔の前で掲げて、合掌するような格好で、しばらく動けなかった。

君の手が作り出したものは、知らない誰かの力になるという、初音ミクの創作文化を思わせるマジカルミライ2015のテーマソング。前のwowakaさんの曲に続いて歌われると、君の手が残したものは、君がいなくなっても誰かの力になると歌われるようにも聞こえて、少し切ない気持ちになる。そして、ライブ一曲目の「テオ」の歌詞「魔法が解けるる それまで 繋いでいてよ 手を」とも重なる。

 

アンコール最後の曲は、満を持して今年のマジカルミライのテーマソングで、和田たけあきさんの「ブレス・ユア・ブレス」。「言葉は全部 君になって」という歌詞に、アンコール冒頭のwowakaさんの歌の歌詞がミクさんの形を作っていった光景を思い出す。

この歌は、生まれてしまった命に「ハローハロー」とコールして祝福する歌だと思っているのだが、8/31の東京公演で聞いたときは、また違った意味を感じた。この日は初音ミクは12周年を迎え、企画展の新技術発表会でクリプトンが2020年に新しい歌声ソフトウェアで初音ミクを発売することを発表した。新しいミクさんの旅立ちに「ハローハロー」と祝福しているような気持ちになった。

 

最後のMCで、「みんなが作る歌と声援があって、私は私でいられます。ありがとう。」という言葉があった。「ブレス・ユア・ブレス」で「もう君に 僕なんか必要ない」歌ったことに対して、そうじゃないよと言うフォローにも少し聞こえたけど(苦笑)、この言葉は、みんなの作る作品とその作者、そしてファンの数だけ初音ミクがあって、それが集まったものが、今ステージの上にいる私、初音ミクです。と言っているのかもしれない。和田たけあきさんが作ったテーマソングも、その他のライブで歌われた曲も全部ひっくるめて「初音ミク」だと。

 

今回のライブは、強いメッセージ性を持つ楽曲が多く歌われました。そのメッセージは作者達が歌に込めたメッセージであり、時に他の曲とは反対のメッセージを発していたりする。それも全部ひっくるめて、マジカルミライに立つ「初音ミク」だった。なんという恐ろしくも心強くもある存在であることか。

 

初音ミクという "いきもの" の過去・現在・ミライについて歌った「ブレス・ユア・ブレス」がテーマソングのマジカルミライに、ふさわしいセットリストだったと思う。

 

巡音ルカ10周年パート編              

スクリーンに映される「巡音ルカ 10th Anniversary」のロゴ映像とBGMで、ここからルカさんのターンですよと宣言して始まったのは、ゆよゆっぺさんの「Never Die」。巡音ルカ10周年記念コンピアルバム書きおろし曲。「I will never die」とルカさんが歌う度に、ステージ上のスクリーンに羽が広がる映像が繰り返されたのが印象的だった。そして、バンド演奏で唸りを上げるギターが、なんとも激しく感情的なことよ。このギターとルカさんの歌声で泣ける。

 

続く2曲は、日替わりで曲が変わった。otetsuさんの「星屑ユートピア」はルカ発売当初からのお気に入り曲で嬉しかったし、emonさん「どりーみんチュチュ」はミクさんリンちゃんをバックダンサーに可愛かったし、samfreeさん「ルカルカ☆ナイトフィーバー」は観客がめっちゃ盛り上がるし、ギターソロも熱かった。

 

Heavenzさん「それがあなたの幸せだとしても」は、エモいルカさんの本領発揮。ルカさんが強い思いが込められた歌を歌った時の、心を揺らす力は凄いなと思った。肩を揺らしながら熱く歌うルカさんと、スクリーンに流れる歌詞に、心を震わせられた。ペンライトを握る手に力がこもった。

 

EasyPopさん「Jump for Joy」は、その前のMCも含めて、大変良いミクルカを見させて頂きました。MCで「ミークーー」とミクさんを呼ぶルカさんとか、「ルカと一緒に歌うのすごく楽しい」と言うミクさんとか。歌の最中も、楽しそうに踊る二人とか、手を合わせたりする二人とか。

 

以上、巡音ルカ10周年記念パートは、ルカさんソロ歌唱で4曲、jump for joyも加えると、計5曲。10周年のお祝いにふさわしく、たっぷりルカさんの歌の魅力を聞かせてもらった。

 

その他、印象に残った曲編              

ここでは、これまでの二編では書かなかったけれど、特に印象に残った曲について書きます。

 

Orangestarさんの「快晴」。自分的にはニコ動とかに上がってるIA歌唱版の印象も強く、最初は歌に入っても曲がしばらく分からなかった。Orangestarさんの曲と気付いた時は嬉しかった。Orangestarさん好きなので。こっそり片方の手のペンライトをオレンジに変えてた(笑)。

 

*Lunaさん「メインキャラクター」は、レンくんが熱く歌う歌詞に、レンくんかっこええなあと思った。熱い心を持った少年だから歌える曲だ。

 

7曲目から11曲目までの流れは、日によって違うのだが、「satisfaction」から「Baby Maniacs」とノンストップで繋いだ大阪一日目と、「catch the wave」から「劣等上等」にEDMで繋いだ東京三日目が好み。東京公演では、大阪公演には無かった新曲の「catch the wave」を持ってきたのは嬉しい驚き。嬉しすぎて、ステージをあまり覚えてないが(笑)。

 

大阪二日目と東京二日目は8曲目にハチさんの「砂の惑星」が入ってきたのだけど、今回のマジミラテーマソングを作った和田たけあきさんが当時反発したこの曲をぶつけてくるとか、運営も意地が悪いなと思った(苦笑)。

 

12曲は、楽曲コンテストグランプリ曲の「ある計画は今も密かに」は、非常に可愛らしくお洒落なポップ曲で、体を揺らしながら楽しんでた。途中ハンドクラップを楽しそうに入れるミクさんも可愛くて、こっちも楽しくハンドクラップを入れてた。

 

13曲目の「ラムネイドブルーの憧憬」は、MEIKOさんが歌う曲。パッションスターのモジュールで爽やかに歌う姿は、なんだかアイドルのような華やかさがあった。二次創作の咲音メイコみたいだなあ、と思ったり。

 

バンドメンバー紹介後の「大江戸ジュリアナイト」は、良いカイミクでした。コミカルな曲を楽しそうに歌って踊る二人を見てると、仲の良い兄妹だなと微笑ましい気持ちに。

 

今年は新曲も多く、どの曲も目が離せない感じでしたが、特に強い印象に残った曲を挙げてみた。

 

全体の感想              

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この写真は、ライブ終了後に「これから5分間の撮影タイム」とのアナウンスがあった時に撮影したもの。今回からの取り組みですが、こういうのは記念になって良い。

 

さてライブ全体の感想ですが、冒頭の繰り返しになりますが、今回のセットリストは、意味を感じる曲の並べ方と、新しい曲が中心なのが良かったです。

 

まず新しい曲が中心な事については、昔からの定番曲が無くて、世代が変わった感があった。「Tell Your World」「Shake it!」「39」「メルト」「ワールドイズマイン」「ODDS&ENDS」あたりの定番曲が無いというのは、かなり新鮮だった。日替わり曲に「ロミオとシンデレラ」があり、ライブで盛り上がる定番曲の1つではあるけど、逆にこの曲が浮いてしまうようなセットリスト。

 

続いて、意味を感じる曲の並べ方という事について。これまでのマジカルミライのライブでの曲の並べ方は、鏡音10周年など意味のある曲をかためる事はあれど、全体的には入れたい曲をただランダムに並べただけなのでは?と思えるような、流れを感じないセトリが多かったので、今回のセトリは意味を感じる曲の並べ方になっていて、そこを高く評価している。ボカロP達が曲に込めたメッセージのぶつかりあいにも聞こえた。

曲の並びに意味を込めると、原曲とは違うメッセージを発するリスクもあるのだけど、それも含めて語りたくなるセットリストになる。だから、こういう感想を書きたくなる。特にそこは、メッセージ性の強い曲編に書いた。

 

楽曲的な激しさと、曲が放つメッセージの強さに、体力的にも精神的にも消耗させられたセットリストだったが、ライブ後に良い余韻を残してくれた楽しいライブだった。

 

最後に、今回のライブの不満点を1つ。音響があまり良くなく、せっかくの良い楽曲や演奏がバランス良い音で聞こえなかった。前の方の席にいたときは音量が大きくて音が割れ気味に聞こえたり、後ろの方の席にいたときは聞こえない楽器の音があったり、ボーカルが聞こえにくい事もあった。
インテック大阪や幕張メッセのホールでも、スピーカーの台数を増やすとか、どの観客席でもバランス良く聞こえる音響にする手段はあると思う。マジカルミライの照明や映像の演出は以前より派手になって良くなってるので、今後は音響の方も良くなっていって欲しい。