日替わり NAT’s Champloo

音楽やライブ(HM/HRやボカロなど)、旅行など、ごちゃっとした日記

超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」歌舞伎座公演を見てきた

初音ミクと歌舞伎のコラボ「超歌舞伎」が、2016年にニコニコ超会議の企画の1つとして幕張メッセで開催されて以来、ついに歌舞伎の殿堂であり歌舞伎で公演されるということで、超歌舞伎を初演以来見てきた私も見に行きました。

www.kabuki-bito.jp

歌舞伎座に到着

歌舞伎座に来るのは初めてだったので、入口周辺の雰囲気や、客席に入る前の物販、客席の様子も私には新鮮。

 

物販では、超歌舞伎グッズも販売。

大向こう付きペンライトは売り切れで、ケミカルライトも販売してた。

初音ミクつながりで、こんなスティックシュガーも売ってた。

 

客席

客席の様子。どんちょうが立派でした。アナウンスによると、どんちょうごとにスポンサーが付いているみたい。

今回の席は、歌舞伎に詳しい友人に確保してもらいました。松竹歌舞伎会に入っていて、一般より1日早くチケットを注文できるとか。1階席で舞台全体が見える良い席。ありがたい。

周りは、歌舞伎ファンと思われる年配の客層が多く、外国人もちらほら。鞄に付けてるグッズからミクファンと分かる人は少々見かけた。

 

旅噂岡崎猫

十二月大歌舞伎公演の第1部の演目が、旅噂岡崎猫と今昔饗宴千本桜。まずは岡崎の化け猫を題材にした演目「旅噂岡崎猫」から。

超歌舞伎では無い純粋な歌舞伎を見たのは、おそらく今回が初めて。あんどんの影で化け猫の正体が見えたり、人形の猫が踊ったり、天井の鉄棒にぶら下がるアクロバティックな動きがあったりと、アナログだけどインパクトのある演出が印象に残った。超歌舞伎のデジタルな演出とは対照的で、それも面白かった。

イヤホンガイドによると、劇伴の演奏には木琴も加わっており、江戸時代当初は東洋から伝わった新しい楽器だとか。そんな解説も面白かった。

途中、演者が座席を通る演出では、ペンライトを「光る筆」と呼んで、次の演目である超歌舞伎のためのものだと言ったり、メタな台詞も印象に残った。

 

幕間

幕間では、友人の案内で歌舞伎座内の売店へ。めでたい焼きという個数限定のたい焼きがあるということで店に向かったけれど、少し出遅れて売り切れでした…。

ドリンクの販売では、超歌舞伎限定でエメラルドグリーン(ミクさんカラー)の甘酒があったので、そちらを購入。千本桜つながりで千本桜ロゼも売ってた。

 

今昔饗宴千本桜

いよいよ超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」が始まる。

幕が始まる前には、これまでの超歌舞伎を紹介する映像や、大向こう付きペンライトの操作を紹介する動画が流れた。

幕が上がり、中村獅童さんが前口上を始める。そして初音屋こと初音ミクが登場、伝統ある歌舞伎座の舞台に上がることは光栄だといった口上を述べる。

獅童さんがミクさんに可愛いポーズをしてと、アドリブでの動きを要求、ミクさんは可愛らしい動きで見得を切っていた。これも電話屋ことNTTの技術のおかげ。初音ミクの映像は、通常は事前に制作されたものを使うのだけど、今回はNTTの次世代通信ネットワークを利用し、遠隔地にいる演者の動きをリアルタイムで舞台上のCGに反映させる仕組みが使われているとのこと。

 

そして舞台が始まる。これまで無かった発端のシーンとして、千本桜の前での宴の一幕が追加されてた。神女舞鶴姫役の七之助さんの舞いが、とても美しかったのが印象に残っている。音も無く、すっと動いている様子は綺麗でした。

その後は、「今昔饗宴千本桜」でお馴染みの展開。美玖姫と忠信が出会い、青龍と対決。途中、獅童さんの息子の小川陽喜君や初お目見得の夏幹君が登場し、大向こうや拍手をたくさん浴びていた。

立ち回りも派手な見せ場。ハシゴを使ったアクロバティックな動きあり、デジタル技術を使った分身の術あり、これもまた観客からたくさんの大向うや拍手が上がる。

 

演出

歌舞伎では、劇伴の音楽も生演奏なのも迫力があって良い。青龍との対決では、和太鼓のセットがステージ横に登場し、生の和太鼓演奏が劇を盛り上げる。これは今までになかった演奏で、自分的にはかなりテンション上がった。

ミクさんの投影も、スクリーンへの投影だと見えないよう、スクリーンの周りを囲むようなセットになっていたのも良かった。ここは前回の超歌舞伎「永遠花誉功」での進化を取り入れた感じ。おそらくLEDスクリーンですね。綺麗なミクさんが舞台の上にいました。

ミクさんと獅童さんの間に紗幕を置いて、そこに映像を投影する新しい演出もあった。

 

客席

観客席のペンライトや、たくさんの大向こうも超歌舞伎の醍醐味の1つ。歌舞伎座の客先は歌舞伎のファンが多い様子でしたが、たくさんのペンライトが振られ、ペンライトがない人はスマフォのライトを振って、ここぞと言うときには大向こうもたくさんかけられた。歌舞伎座でも、幕張メッセでの超歌舞伎と同じような光景が広がってたのが印象的だった。

劇中、自分の一つ左隣の年配のお客さんが、光らないケミカルライトを振っているのが気になって、クライマックスの直前くらいに手元に余っていたペンライトを貸したら、その後も楽しそうにペンライトを振ってたのが、嬉しかった。

 

カーテンコール

演目最後のカーテンコールでは、千本桜の曲が流れ、桜吹雪が舞う中、獅童さんの煽りで、総立ちの観客がペンライトを振り、コールが沸き起こる。これも超歌舞伎ならではの光景。

獅童さんが客席に降りたとき、自分のすぐ右隣で獅童さんが立ち止まり、周りの観客に向かってアピールを始める。それこそ、獅童さんの顔に流れる汗がはっきり見えるくらいの距離。そんな獅童さんのすぐ近くでペンライトを振り、コールを振ってたのは、忘れられない光景。

そして、客席を回った獅童さんが花道まで戻り、宙乗りを始める。その横には手を振るミクさんの姿も。もうここからは、ペンライトを振ってコールをしながら、ずっとミクさんを見上げてました。

 

終演

歌舞伎座での超歌舞伎公演、超歌舞伎は初めてという歌舞伎ファンも観客には多いだろうし、どうなるか不安も少しあったのですが、いつもの幕張メッセと同じように大いに盛り上がって良かった。友人も、超歌舞伎は初めて見たけど楽しかったと言ってくれた。それが嬉しかった。

公演後、その友人と食事をしながら歌舞伎の話をしてました。超歌舞伎で歌舞伎座に新しい客層が来てくれたのは良い事。そして、新しいお客さんがまた歌舞伎を見に来てくれるための入口が、次の課題だとも言ってました。刀剣乱舞ルパン三世の歌舞伎が話題になっている話や、好きな役者ができれば、その繋がりで他の演目も見に来てくれればという話も。

さて超歌舞伎の歌舞伎座公演、自分は初音ミクつながりで、歌舞伎座に来たのだけど、ミクさんを追い掛けていなかったら、きっと歌舞伎座で歌舞伎を見に来る事は無かっただろうなと。そう考えると、彼女は本当にいろんなものを結びつけてくれる存在です。歌舞伎という新しい世界を自分は垣間見ることができました。

そしてミクさんの歌声が、歌舞伎の殿堂である歌舞伎座でも流れたというのも感慨深い。ライブでは世界中のあちこちで歌声を披露してきた彼女ですが、伝統ある歌舞伎座でも歌声が流れたのです。

超歌舞伎としても、中村獅童さんや澤村國矢さんを始めとする共演者、制作に携わった松竹やドワンゴ、技術提供とスポンサーのNTT、CG制作に関わったLATEGRA、その他多くの制作関係者、超歌舞伎やミクさんのファンなど、多くの人のおかげで、歌舞伎座での公演が実現した。その超歌舞伎の歴史を振り返ると、また感慨深い。

今回の歌舞伎座公演の後、次の超歌舞伎が歌舞伎座で行われるのはいつになるのでしょう。獅童さんは新聞等でのインタビューでは「一区切り」と言っていたので、次の歌舞伎座公演は少し先になるかもしれません。

本公演は12月26日まで続きます。その間にもう一回歌舞伎座へ行って、歌舞伎座での超歌舞伎の光景を目に焼き付けておこうかなとも思う。