高校生だった頃、国語の教科書に「偽善のすすめ」という短い評論文が載っていた。もはや詳細は覚えていないが、「偽っていることが分かってしまう善は偽善ではない。誰にも偽っていることとが分からないのが偽善だ」というような内容が書いてあって、そんな「偽善」をすすめるような文章であった。
その「誰にも偽っていることが分からないのが偽善」という発想が面白いなぁと思って、そんな「偽善」なら悪くないな、とか高校生だった私は考えたのでした。
「偽善」に対して、そんな思いを持っている私が、ふとこんな本を見つけて、思わず買ってしまった。
- 作者: 小池龍之介
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: 単行本
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住職でもある著者の仏教視点から書かれた本で、先の「偽善のすすめ」とは違った「偽善」なのだけど、なかなか興味深い内容だった。
この本を読んで一番感心したのが、人の心を不善の状態に導くものは、仏教では以下の3つだとしている点。
- 引っ張る欲望
- 押しのける怒り
- クルクルさ迷う愚かさ
そして、この3つがないように行動することが「善」だと、この本では言っています。
自分の今までの人生を振り返ると、後悔したり、後味の悪い気持ちになったりするときって、だいたいこの3つのどれかが強く出たときのような気がする。人の悪い心を、たった3つに抽象化できてしまうところがすごいなぁ、と感心したのでした。