http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka/4000020/4000157.html
兵庫県宝塚市にある手塚治虫記念館にて「初音ミク×手塚治虫展ー冨田勲が繋いだ世界ー」という企画展が7月1日から始まったので、さっそく初日から行って見てきました。
企画としては、初音ミクの紹介展示、歌う初音ミクの3DCGモデルを使った「初音ミク ミニシアター」、そして多くのクリエイターが描き下した「初音ミク×手塚作品」のコラボレーションイラストの展示、グッズ販売がありました。
展示入口
展示の部屋に入ると、初音ミクと手塚治虫のコラボレーションのきっかけがパネルで紹介されていました。冨田勲さんが「イーハトーヴ交響曲」の公演の中で、冨田勲さんが作曲した「リボンの騎士」を初音ミクが歌った事がきっかけでした。
初音ミク×手塚治虫のコラボイラストの展示
今回の展示の中でも一番印象に残ったのが、初音ミク×手塚治虫のコラボイラストの展示でした。
展示では、11名のクリエイターによって描かれたコラボレーションイラストと、オリジナルの手塚治虫作品のイラストが展示され、各クリエイターのコメントも書かれていました。
コラボイラストは、描かれているコンセプトがどれも素敵でした。そのコンセプトは、大きく分けて以下の2つがあったように思います。
初音ミクが手塚キャラを演じる
初音ミクが手塚キャラを演じるのを描いた作品の代表例がiXimaさんの作品で、「リボンの騎士」のサファイアを演じる初音ミクを描いていました。本展示会のメインビジュアルにもなっています。「男装の麗人」と呼びたくなるような、男性でも女性でもない中性的な美しさと可愛らしさがあるように感じます。
「リボンの騎士」のサファイアを演じる初音ミクは、柚希きひろさんも描いています。こちらはiXimaさんの作品とは対照的に、周囲に花を配置し、少女らしい可愛らしいサファイアに扮したミクを描いた作品になっています。
「どろろ」の百鬼丸を初音ミクが演じるのは、さいとうなおきさんの作品。どろろ役として、鏡音リンとレンがミクの傍らに描かれています。炎や怨霊のようなものが舞う背景に不敵な笑みを浮かべる、オドロオドロしい雰囲気。一方で、ネギの形をした仕込み刀や大きなリボンの腰帯、着物の横からちらりと見せるふとももと、初音ミクのかわいらしい側面も見せます。
初音ミクが手塚キャラを演じるのは、バーチャルな歌手として様々な役を演じるキャラクターであることの延長にあると思っています。できることなら、歌手として手塚キャラやその世界を初音ミクが歌うのも聞ききたいと思いました。
手塚キャラと初音ミクが出会ったら
もう1つのコンセプト、手塚キャラと初音ミクが出会った世界を描いた作品で、私が一番気に入ったのは、ねこいたさんの作品です。
当時の未来の象徴であったアトムと、現代の未来を象徴する初音ミクの出会いを描いています。そこに描かれている漫画の中では、アトムが初音ミクを案内しています。一方、漫画の外の世界は、初音ミクがアトムを案内するという構図になってるのが素敵です。
「三つ目がとおる」の写楽とモアが初音ミクと出会ったら、という世界を描いたのは、雪乃たまごさん。頭身低くデフォルメされた初音ミクが、写楽と出会い、モアと戯れる、優しい世界。
「ユニコ」のユニコが、初音ミクと出会ったら、時空をさまようユニコに穏やかな時間を過ごして欲しいという思いを描いたのが、ちゃもーいさんの作品。綺麗な物やキラキラしたものが散りばめられた、少女漫画的な鮮やかな作品。
歌う存在である初音ミクを描いたのが、ヒョーゴノスケさんの「ジャグル大帝」の作品。アフリカの大地に響き渡る初音ミクの歌声と、それに聴き入るレオの姿。
あさぎりさんの作品は、音楽ソフトウェアである初音ミクをブラック・ジャックが手術したら?というシーン。初音ミクの周りにある手術機材が音楽機材になっている、どこか可笑しなイラスト。
「ふしぎなメルモ」の年齢が変わるふしぎなキャンディーを、人間でない初音ミクが食べてしまったら?という賀茂川さんの作品。キャンディーをばらまいて倒れているミクは、年齢が上がっているようにも見えるが、どうなってしまうのか…。
手塚キャラと初音ミクが出会った世界を描いた作品は、初音ミクの多様な側面を各クリエイターが選んで、それを手塚キャラと出会わせているのが、興味深かったです。初音ミクは、未来の象徴でもあり、美少女キャラクターでもあり、歌う存在でもあり、音楽ソフトウェアでもある。そんな多様な側面を持っているのが見えたのも、興味深かったです。
初音ミク ミニシアター
3DCGモデルの初音ミクが歌う「初音ミク ミニシアター」では、「リボンの騎士」「Yellow」の2曲が演奏されていました。音源は既存のものと思われます。「リボンの騎士」は、おそらく冨田勲さんの「イーハトーヴ交響曲」演奏会のアンコールでやったものでしょう。
投影装置は、冨田勲さんの「ドクター・コッペリウス」の時に使ったもののミニサイズ版のようで、ペッパーズゴーストで投映する仕組みでした。この装置の限界なのか、映像はあんまり鮮明ではなく、ボケた感じなのが残念でした。
初音ミクの紹介コーナー
初音ミクについて紹介するコーナーもありました。
初音ミクの解説パネルや、初音ミクを始めクリプトンのVOCALOIDのソフトウェア・パッケージ、キャラクターデザインのラフスケッチ、そして初音ミクの等身大フィギュアが展示されていました。