世界ボーカロイド大会 / The World Vocaloid Convention
ボカロファンが集まる、一泊二日のファンメイドのイベント「第00回世界ボーカロイド大会」(通称:ボカコン)に行ってきました。
有志のファンによって持ち込まれた大小様々な分科会形式のイベントが二日間を通して開催されました。ライブステージあり、パネルディスカッションあり、展示あり、上映会ありと、非常に密度の濃いイベントで、とても楽しかったです。
それぞれのイベントについて書くだけで、1つの記事になりそうなくらいの濃い内容なので、この記事では俯瞰的に駆け足で、イベント内容を書いていきたい。
貸切ボカロ列車
最初のイベントは、天竜浜名湖線の貸切列車を利用したボカロ列車。天竜二俣駅に集合。
整理券は、なんとこのために制作された硬券。文字の背景の紋様をよく見ると「せかいぼーかろいどたいかい」書いてある。素晴らしい出来だ。
天竜二俣駅の見学ツアーで、国の登録有形文化財に登録されている転車台や扇形庫などを見たあと、ボカロ列車に乗り込んだ。
ヘッドマークには、初音ミクとGUMI、mikiが描かれていた。
天竜二俣駅から掛川駅までの社内は、トークあり、「海老いも最中」「掛川茶」の振る舞いあり、整理券の検札(?!)ありと、あっと言う間の1時間。
ヤマハリゾートつま恋へ
掛川駅からはシャトルバスで、会場のあるヤマハリゾートつま恋へ移動。
ステージイベント
会場に着いて、宿泊施設の部屋に荷物を置き、相部屋の2人と挨拶した後は、会場となるミュージックガーデンへ移動。簡単な開会式のあと、ステージイベントが始まった。
ステージイベントは、3つのライブステージがあった。
- ポリッドスクリーン プロジェクト
- ぼーかりおど P ソロアクト with SYNCHLOiD
- りはびり〜ず feat. MIKU & GUMI アミッドライブ
演奏中の写真はないので、演奏前の写真です。どのステージも、ボーカロイドのキャラクター投影型のライブ。
ポリッドスクリーンのステージは、スクリーンと背景の2枚の映像を効果的に使ったステージだった。背景にスポットライトの影が当たるような演出があったり、宇宙の映像や光が放出するようなエフェクトがあったりと、背景が凝っていた。
ぼーかりおどPのステージは、ギターがぼーかりおどP、ボーカルが初音ミクという2人ユニット形式によるステージ。演奏も映像も良かった。特に「1/6」での東京タワーと月を背景に初音ミクが歌うステージが印象に残った。あと、ぼーかりおどPが曲間のMCで、曲の裏話を話すのも興味深かった。その間、初音ミクはMCに合わせて相づちを打ったり、そのまま演奏に入ったりと、曲間の初音ミクの動きも、従来のアミッドスクリーンのステージから進化していた。
そして最後のりはびり〜ずのステージ、バンド演奏も素晴らしくて楽しかった。最後の曲が「LET'S DANCE NOW」で会場は大盛り上がり。
<追記>りはびり〜ずのステージの様子は、この動画で見ることができます。追記>
人形浄瑠璃
夕食後、日独交流企画でドイツのボカロファンとSkypeで繋ぐというイベントがあった。そして、セッション「人形浄瑠璃の方法論 - 初音ミクに連なる系譜」に参加。
「初音ミクは人形浄瑠璃」説を唱えるアスキー・メディアワークスの福岡俊弘さんが、人形浄瑠璃の人形遣い吉田幸助さんらを招いてのセッション。人形浄瑠璃の解説や人形の動かし方の実現などが行われた。
そしてセッションの最後に、初音ミク曲「メルト」に合わせて人形を舞わせるという実演が。これには驚いたし、感激した。歌詞の内容に合わせて、人形が喜んだり照れたり、傘を差したりと、表情豊かに動く。それだけでも十分凄いのに、後半にはネギを持たせて振るというサービスまで。本当にえらいものを見た思い。
<追記>「メルト」を舞わせた実演の様子は、この動画で見る事ができます。追記>
討論会・座談会
夜はホテルの一室で、4つのテーマに分かれての討論会・座談会。
私は、VOCALOID聴き専ラジオのボカコン出張版の公開中継に参加。中継の様子と、他の討論会・座談会の突撃レポートを楽しませてもらった。
<追記>この日のVOCALOID聴き専ラジオは、リンク先で聞けます。2013-06-11追記>
レクリエーション:踊ってみた
2日目の朝。ボカロ曲の踊りの振り付けを覚えようという企画に参加。内容は「ルカルカナイトフィーバー」のサビの部分だけでも覚えて、みんなで踊ろうというもの。
まずは屋内のスタジオで、初音ミクのコスプレイヤーさんの講師に教えてもらいながら、踊りの形を練習。
そして、外で本番。この様子は録画されて、どこかで公開されるとのこと。
こういう踊りは初めてだったけど、なかなか面白かった。良い汗をかかせてもらった。<追記>この模様は、この動画で公開されました。追記>
シンポジウム:第00回ボーカロイド学会 〜ボーカロイド:その文化と世界へのインパクト〜
続いて、ドイツとアメリカとSkypeで繋いでのシンポジウム。ボーカロイドが世界でどのように受け入れられているかをテーマに、日本、ドイツ、アメリカの3国がそれぞれ発表し、議論を行った。
数多くの情報やエピソード、意見が交わされ、非常に濃い内容だった。
大祭壇
よくボカロ関連のオフ会では、参加者の持つフィギュアや人形などのグッズを1ヶ所に集めて「祭壇」を作るという事がよく行われるのだが、これを大規模にやったのが、この「大祭壇」。
参加者が思い思いの自慢のグッズを持ち寄り、時間が経つにつれて段々と増えていくのが面白かった。
ちなみに、この大祭壇の台座は、雛飾りの八段飾りのものを借りてきたそうだ。人形屋さんに「台だけ貸して」と頼んで。
かくいう私も、グラフィグ初音ミク市松ver.と、VOCALENDARの卓上カレンダーを持参。紙のグラフィグを持ってきた人はいなかったようで、内心「勝った」と思った(何に?)。
ワークショップ・分科会・展示
午後は、いくつかのワークショップ・分科会・展示を見学。
ボカロ関連イベントのカレンダーサイトVOCALENDARの約1年分のイベントを、壁一杯のタペストリーで並べた「VOCALENDAR WALL」展示。
海外にボカロを紹介するユーザー主催イベントを行っているD.P.H.の、世界各地で上映したアミッドスクリーンの映像を紹介する上映会。
前日のライブでも使われたポリッドスクリーンの解説展示。
Oculus RiftというHMDを使ったVR技術のデモ展示。これを使うと、Tda式ミクが目の前に座っているかのように見えて、自分の好きな視点から見る事ができる。首の動きに追随して映像も動くので、見回す限りCGで作られた空間。しかも初音ミクの視線は常にこっちを見ているので、かなり近くまで近づくと、なんだか気恥ずかしくなってくる。いわゆる「二次元に入る」というのは、こういう事なのだろうかと思った。
写真はないけれど、「ボカロに肉体を与える調教戦略」という独自の調声理論を解説するセミナーも聞いた。人間が歌を聞く耳、歌う声帯の仕組みを理解したうえで、それに基づきVOCALOIDの歌声を調教するのを実演交えて解説。
自分はVOCALOIDを使って曲を作る事はないので、実践する機会は無さそうだが、「早い音の変化は、音程の変化ではなく歌唱表現と認識する」「緊張すると声は高くなり、加齢すると声は低くなる」など、人間の耳や声帯の仕組みを興味深く聞いた。
閉会
そして、2日間にわたるボカコンが終わった。
「ボカロ」をキーワードにしながら、非常に多岐にわたる内容。ライブステージだけでなく、ボカロ列車、浄瑠璃、踊ってみた、ボカロ学会、技術デモ展示などなど。まるで文化祭のようなお祭りで、本当に楽しかった。イベントの内容だけでなく、その合間でのボカロが好きな人達との交流も楽しかった。
今回は第00回ということで、試験的に開催した形のようですが、またこんな楽しい時間を過ごしたいです。次回があることに期待です。